■ 素敵な窓際の景色を育てるカギは〇〇にあり?!
住まいでも店舗でも、近隣・街・社会といった「建物と外がつながる」ということを大切に考えた空間づくりを意識しています。家の内外が視覚的に繋がるということのほかにも、町の景色や灯りを家にとりこんだり、逆に住まいの佇まいや暮らしの明かりが街の風景の一部となるような"相互的な繋がり"を含んでいます。そうすることで、街と人に新しい関係性や暮らしの変化をもたらしてくれるからです。
「内と外を繋げる」ことを実現するための工夫は色々とありますが、私が今後も積極的に設計に取り入れていきたいと考えているものの一つに、木製サッシを使った大開口があります。家の中と外を繋ぐとき、最も明確な境界線となってしまうのがサッシです。サッシの無機質な異物感が家の内外を別空間として認識させてしまうのですが、このサッシに自然素材の木を使うことで、人肌のような温かみが生まれ「窓の外の素敵な景色」ではなく「窓辺全体が素敵な景色」として目に映るようになるのが木製サッシならではの魅力です。また、木製サッシの存在は、窓を介する景色をドラマティックにしてくれます。
植栽や庭、外構に目が行き届きやすくなり、興味関心のある場所は手をかけたくなるのが人情。緑を植えたり、お掃除をしたりと手塩にかけた景色には自然と愛着が湧くものです。木製サッシがあるだけで、窓まわりの景色を育てたくなるような、そんな力があると感じています。
サッシ自体に重量があるので荷重に対する耐久性が必要ですし、木は乾燥や湿度による変化を受けやすい素材の為、やはりきちんとしたノウハウのあるメーカーの木製サッシを使うのが安心です。気密性・断熱性に優れ、実績に裏付けされた品質の高さが「見た目だけでなく、ちゃんと暮らしやすい」を叶えてくれます。建具の開閉というシンプルな行為によって生み出される空間の変化ですが、遠くから外観を眺めるときも、窓越しに外を見るときも、木製の窓枠越しに眺める緑はそれだけで違って見えるから不思議です。
自然や緑がそばにある暮らしを望む方には、ぜひ「窓際の景色のつくり方」として木製サッシがもつ住まいの居心地の良さを何十年とかけて味わってほしいですね。
写真撮影:加藤悠(ウェイ)