■ 麻のシャツのような住まい
住まいは暮らしの器。家族が寝て食べてくつろぐ、いわば「ふだん着」の場所です。私たちが提案するのは、上質な素材で誂える「白い麻のシャツ」のように快適な暮らしのための器です。飾りがなくても品があり、柔らかで涼しい白い麻のシャツは、様々なコーディネートを楽しめ、着る人を美しく引き立てます。心地よさ、落ち着き、気品があり、澄み切った空気が流れる住まいを設えます。そして、台所、洗面、収納の高さや大きさ、スイッチや水栓の位置等、あなたの暮らしにあわせて誂える、まさにオーダーメイドのシャツのように「あなたの体にぴったり」な器です。
そんな市中山居の「白い麻のシャツ」の考えをお客さまに気に入っていただき、ご依頼いただいて設計したのが「麻のシャツのような住まい」。若いご夫婦が小さなお子さまと暮らす住まいです。いままでも、お父さま、お母さまもご一緒にみんなで、広々としたウッドデッキでバーベキューを楽しみ、伸び伸びと暮らしてきたご一家。
住まいのコンセプトは、「自然、家族との絆が育まれるよう、リビングとデッキを住まいの中心」としました。
住まいの中心になるのは家族がくつろぐリビング。丸柱と大らかな勾配屋根で守られ、幅2m以上の引込戸を開ければウッドデッキと1つとなります。
第二のリビングとなるウッドデッキ。深い庇に守られ、間口4.5m×奥行4m、広さ10帖あり、椅子とテーブルをゆったり並べられる広さです。
朝、鳥のさえずり、木漏れ日、新鮮な空気を楽しみながら、コーヒー、紅茶を味わい、
昼、子供たちと一緒にBBQを食べてお昼寝、
夜、鈴虫の音を聞きながら、月見をする...
自宅にいながらにして、グランピングしているかのような心地よさが味わえます。
水回りをコンパクトにまとめたり、駐車場からパントリーへ直結する勝手口を設けたり、暮らしやすい工夫もたくさん盛り込みました。
お客さまのこだわりの1つが、赤松の無垢フローリング(幅広)。自然と住まい研究所さんが施工した「守谷の家」にお邪魔したとき、一目ぼれしたものです。コロナ渦で建材の価格が高騰、供給が不足する中、工事費を自然と住まい研究所さんと調整しながら、なんとかリビングに実現することができました。現場監督さん、大工さん、職人さんも手間暇を惜しまず作り込んでいただき、品よく仕立て上がりました。
ここは、おじいさまから引き継いだ場所。おじいさまが大切に育てられたお庭は、造園家の小林賢二さんの手で、新たに生まれ変わります。
でも、大きなベニシダレモミジはそのまま。
自然、家族との絆をこれからも紡いでいきます。
外壁 | ガルバリウム鋼板、ジョリパッド吹付
内部 | 大谷石、赤松フローリング、クレイペイント 、造作木製建具、障子
写真 | 市中山居
造園 | 小林賢二アトリエ