■ 表舞台と裏動線 洗濯物をくつろぎの場から目隠しする木フェンス
家を設計する際に、どのお住まいでも課題となることの1つに洗濯物干し場をどのように設けるかということがあります。
洗濯物は生活感が出やすいので、干す場所をくつろぐ時や帰宅してすぐに目に入るようなところではなく、少し目隠しできる場所にすることで、空間をすっきりした印象にすることができます。
洗濯物以外でも、家の中で表舞台となる場所と、生活感のある裏動線となる場所を分けることで、躍起になって片付けなくても、なんとなく整っている家という印象になり、無理なく暮らしやすい空間をつくることができます。
『G邸』もそのような考え方の下、壁を境に室内をパブリックゾーンとプライベートゾーンに分け、加えて、庭も壁と連続性のある木フェンスで『愛でる庭』と『生活する庭』に分けました。これによりパブリックゾーンであるリビングには庭とその先に広がる森の景色だけが採りこめます。そして反対側の庭には来客時でも気兼ねなく洗濯物を干せ、掃除用具を収納したり、ごみの一時置きをしたりと生活に必要な家事が心置きなく行えます。
見せたいもの、見せたくないものを分けることで、肩の力を抜きながらすっきりと暮らせる居心地のよい家が生まれます。
PHOTO: 繁田諭(1,5枚目) / 阿川宮鳥(2~4枚目)