久坂和之建築設計事務所
住所: 石川県金沢市上荒屋5-18
TEL : 076-209-2933
E-mail
:info@kusakanchi.com
URL : https://www.kusakanchi.com/
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■ HOUSE SG
「弥生のスキップハウス」
石川県金沢市の中心部から程近く。狭い街路と小さな家が建ち並ぶ敷地での建替え計画。
南側の道路面以外は建物が密集し、開けている西側隣地もいずれは建物で塞がれるであろう。事実、建替え前はいつもカーテンや障子を閉めきり、薄暗く風通しの悪い暮らしを強いられていた。プライバシーを守りつつ光と風を十分に取り込む新しい街なかの住まいが望まれた。
各室の床レベルを少しずつずらしたスキップフロアの空間とした。DK、リビング、スタディスペース、子供室、寝室と床レベルの異なる様々な居場所をしつらえている。周辺とは異なるレベルは、通行人の視線や隣家の窓とのズレを生み、それに合わせた開口部により視線を避けている。各室は床の高さを変えながらもつながっていて、光・風・家族の気配が通りぬけていく。ワンルームのように繋がりながら、単純な一室空間ではない多様な居場所。
子供たちは上って下りてを繰り返し、やりたい事や、その日の天候、気分によって猫の様に好きな居場所をみつける。
(実際に猫を飼う事も検討しはじめたらしい)
家族がなんとなくつながっているような、でも各々好きに過ごしていられるような、心地よい距離感がうまれている。猫にとっても居心地のいい空間になりそうだ。
Photo : : 品野 塁
■ 脱カーテン!光とプライバシーを確保したリビング設計
長屋が建ち並ぶ住宅地の住まいでは、狭い間口と密集した周囲の住宅環境が特徴的です。
こちらの住まいは、唯一光が取れるのは道路に面した南側だけという条件でした。
お施主様ご希望の1階にリビングルームを設けるためには、道路からの視線をいかに避けるかが問題でした。建て替え前はカーテンを閉めて生活をしていたということで、プライバシーを確保しながらも、明るく開放的で明るい住まいになるよう工夫をしています。
まず、リビングにはステップフロアを設け、窓を高い位置に配置することで、視線を気にすることなく自然光を取り込みます。これにより、開口部が少なくても住宅の奥まで光が届き、リビング奥のキッチンやサンルームにまで明るさが行き渡ります。
そして窓の位置をずらすことで、道路や隣家との視線が重ならないので、密集した住宅地でもプライバシーを守りながら採光を確保できています。
仲の良いご家族なので、このスキップフロアを活かし、完全に個室で分けるのではなく、段差を利用して個々の居場所を作りながら、家族全員が優しくつながる住まいとなりました。家族やその友人たちが、それぞれの居場所で自然とコミュニケーションを生み出し、楽しい住まいになったことが印象的です。