作品集
■ 横浜山手の家
2023年に竣工した住宅です。
敷地は横浜市中心部の丘の頂部の際に位置しています。ビンテージカーを所有されているクライアントから車と共に暮らせるような家を持ちたいという要望を受けて、素晴らしい眺望と愛車が生活の中で印象的に感じられるような住宅を計画しました。
建物は陸屋根部分と勾配屋根部分とが敷地の形状に沿って組み合わされた単一のヴォリュームで構成されていて、眺望の良い東側に向かって開いていくホールの吹き抜けを挟んで空間が配置されています。
1階の南側に縦列3台分のガレージが設けられていて、ホールを挟んで相対するリビングからショールームのように車を眺めることができます。ダイニングや浴室などからは横浜港やベイブリッジなど横浜の特徴的な風景を望むことができます。内外装では石、タイル、金属パネルなど様々な種類の材料を用いつつ、異素材間で質感や素材の持つ模様など合わせていくことで全体的には統一された印象を与えるように配慮しています。
Photo : 中村絵写真事務所
プロの住宅レシピ
■ 富士山と暮らす、変形地を活かしたリビング空間
こちらの住まいは、若いご夫婦が一軒家を建てるということでスタートしました。
一番の希望は「眺めの良い住まい」ということで、富士山への眺望を暮らしの中心に据えたデザインが特徴です。
土地探しの段階から景観を重視し、その条件を満たす擁壁の上の変形地を選びました。台形の土地の形状を活かしながらも、富士山の方向に大きく開く開口を設けることで、この場所ならではの景色が楽しめる設計です。
擁壁の上にボリュームを持ち出す大胆なデザインにすることで、台形の土地でも壁面を広く確保し、富士山を開口部の真正面に取り込みました。
また、中二階のリビングから続く二階のキッチンでは、壁が富士山に向かって狭まるデザインになっているので、キッチンに立つと、自然と視線が富士山の方向に導かれます。
富士山は、朝昼夜、季節ごとに違う表情を見せます。特に西側に位置するこの住まいから見る、夕方に浮かび上がるシルエットは格別です。この美しい景色に調和するよう、室内デザインはあえてシンプルに仕上げ、採用する素材はできる限り素材そのものの質感や良さを生かしています。
さらに空間が単調にならないよう、構造上必要な床の段差を活かし、高さが異なるスペースを設けることで、空間に立体感を持たせました。
景色を最大限に取り込む工夫により、景色がもたらす日々の変化を楽しめる、豊かな住まいとなりました。
Photo : 中村絵写真事務所