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■ 湖畔の家

緑豊かな高台に建つ、湖畔の木造平屋建て住宅です。
ゆったりとした敷地に平屋の建物。その大屋根の高さを利用して、廊下部分を天井高さ５ｍ弱にして家族の為のギャラリーを作りました。その上部には北面のハイサイドライトを設置して、空気の流れと、日光に左右され過ぎない一定の明るさを確保しました。
構成は人が利用する各室と、それらをつなぐ動線の他に、ペット（３才雌猫）の為のスペースや動線、出入口を至る所に設けました。ペットは今や家族の一員。住宅を設計する時には人の動きを考えるのと同じように、「ペット動線」もまた大事な要素かもしれませんね。

Photo : 阿部良寛

■ 素材と思い出を引き継ぐ、図書館のような空間

仕事や趣味で集めた本やコレクションを飾りつつ収納するスペースをリビングと設けるため、リビングや小屋裏と呼ぶスペースに、図書館のような空間を作りました。
お施主様の大切な蔵書を収納する本棚は、以前の住まいから丁寧に取り外し、ミリ単位で寸法を測り新しい家へと引き継いでいます。本棚だけでなく、本が放つ空気感や周りの雰囲気も一緒に持ち込むことで、思い出や歴史をそのまま新しい住まいへ移します。
リビングだけでなく、廊下や和室の壁や床、襖などにも可能な限り引き継いだ素材を活用。画家だった父親の仕事場や母親の書斎で使われていた素材や家具など家族の歴史を、アートとともに受け継ぎました。
古い素材と新しい素材が混在する空間では、どちらの素材感も大切に扱うことで、経年変化を楽しむ前提で選んだ新しい素材は味が増し、古い素材では長年使われてきた風格と重みが増すので、素材の調和と住まいの変化が楽しめます。素材への配慮とバランスが、住まい全体に深みを与えてくれます。
お施主様と一緒に「これから先の時間や使い込んだ形」を想像しながら、素材や空間のあり方を共に模索しました。暮らしの中で空間を成長させながら、楽しめるよう、あえて余白を残す設計にしています。

Photo : 阿部良寛