■ 変化に富んだ平面構成をジョージアン・スタイルのデザインで包み込んだ本格的な洋風住宅。
会社経営者の建て主様。高級感豊かな佇まいでありながらも、決して威圧的になることのないデザインをご希望されました。ご夫妻がイメージされていたのが北米の伝統的なジョージアン様式。しかしながら、ほぼ整形地とはいえ街並みから奥まった接道条件の特殊な敷地のため、プランニングには難航しました。最終的に玄関・ホールを中心に据えながらも左右非対称の平面計画とし、吹抜や回遊動線によって各部屋が緩やかに連続していく構成を採用しました。そうした連続性は、ところどころに配置された曲線要素によりナチュラル/リズミカルに感じられるよう配慮し、インテリアの要であるスパイラル・ステアケース(螺旋階段)を一層引き立たせることに成功しています。さらに大きなトップライトが、窓の殆んどない玄関・ホールに豊かで優しい自然光を供給しています。エクステリア・デザインは、シングル・スタイル的な開放的プランにジョージアン様式の厳格なスタイルを如何に上手く融合させるか、に配慮しました。素材・装飾材の選択に細心の注意を払い、それらの配置は平面・立面計画とのバランスを十分に考慮したうえで決定しました。ひとつ残念であったのは、施工会社の規準及び工事予算の制限により、ポーチ廻り外壁の自然石張りができなかったことでしょう。