所在地: 東京都 荒川区
作品紹介
東京都荒川区の木造住宅密集地に位置する木造3階建の住宅です。敷地面積約60m2の狭小敷地に、小さいながらも居心地の良く過ごすことができる居場所を各所に点在させた住宅となっています。
敷地は建主さんの祖父母から引き継がれた土地で、近隣にご両親、親戚も住まわれています。近隣の方々との付き合いも古く、プライバシーを守りつつも周辺環境に対して閉じない適度な距離感をどのように空間化するのかを探りながら計画を進めていきました。
隣が建主さんのご実家で、既存住宅は実家の”母屋”と”はなれ”という関係だったこともあり、母屋とはなれの隙間の空間は自然発生的に生まれていた中庭のような使われ方をしていました。建替えの計画においても母屋との間の関係性を引き継いだ中庭を設け、1階のダイニングキッチンはこの中庭に開かれ、外の自然を感じることができる空間構成となっています。
また既存建物の解体の時に発生した木材を古材として再利用する試みとして、木材を”柿割”して、外壁に葺く”柿葺”に挑戦し、建主さんの積極的な参加によって実現しました。
建替えにより風景は新しくなりましたが、暮らしや営みの記憶を緩やかに引き継いだ住まいとなりました。