所在地: 埼玉県 熊谷市
作品紹介
敷地は密集した住宅地で、区画整理によって整理された区域にあります。
敷地周囲は住宅で囲まれ、どの方向に窓を設けても隣家が目前 にあり良い景色は望めません。そんな環境の中で、プライバシー の確保と明るく心地よい空間を希望されました。 住宅に囲まれる 敷地においてプライバシーを確保する場合、周辺環境に絶望し 街に対して堅く閉ざし、内に向って空間をつくる中庭型の住宅 をよく見かけます。 しかし、もし外部に堅く閉ざした中庭型の 住宅によって街並がつくられたら…と想像すると、「それは違う」と感じました。
私たちは住宅のプライバシーを確保しながらも、街に対して 開いて行くことを考えました。 隣接する住宅から出来るだけ距離 をとって建物を配置し、街に対して少しずつ開くことで、わずかな生活の気配や灯りが溢れ、街に人の温もりを与えます。
また室内においては、全体に配置した小さな窓が室内に木漏れ日のような光を届け、無風状態であっても温度差による換気を促し、心地よくエコロジーな空間をつくります。 また、小さな窓は外の景色を断片化し隣接する家はパズルの1ピースのよう に不確かなものとなり、同じく切り取らられた庭や空などの風 景と混ざり合い、時間や季節の流れの様々な変化を感じさせてくれます。 沢山の小さな窓は、日が沈むと街に明かりを灯し、 高校生の通学路にもなっている前面道路を行灯のように優しく照らします。