緑蔭山荘別邸

作品紹介

建築主が老後を見据え、景色の良い場所に暮らしたいという想いから島根の自然を満喫できるような場所を探していたところ、この建物と立地に行き着いた。東側は山が広がり、西側は谷のような地形をしていて、この島根らしい景色をより多くの人にも感じてもらいたいという想いから、母家は建築主の家として利用し、離れを一棟貸しの宿にリノベーションする計画が始まった。客室は、西側の谷に対して幅3.6m、高さ2.0mの大きな開口部を計画し、真向かいにある竹林の借景が1枚の絵画のような印象を与え、島根の自然の豊かさを感じる空間とした。客室の天井は竿縁天井を撤去し、現し天井を計画し、開放性の高い空間としている。冬季のエアコンによる熱負荷を低減するために、暖炉を計画し、脱炭素社会にも配慮した。既存の水廻りに関しては、汲取り式のトイレや薪で風呂を沸かす仕様だった為、配管から全て新設した。浴室やトイレ、洗面室などの水回りに関しては、3.1m角の広さ、高さ1.9mの既存スペースしかなく、極狭空間であった為、圧迫感のある場所になりすぎないように、天井に勾配を設け、竿縁天井の裏に仕込んだ間接照明から天井を照らし、奥行き感のある空間とした。浴室には、松江在住の桶職人に直径1.2m、高さ0.6mの桶を製作してもらい、桶の高さと窓枠下端の高さを揃えることで、お風呂に浸かった時に山側の風景と目線の高さを揃え、島根らしい自然環境を暮らしの一部となるようにした。建築主が集めた栗や柿の無垢材、お手製のステンドグラスなどを内装に使用してほしいとの事から、建具やカウンター、窓などにアクセントとしている。自然豊かな環境の中で、伸びやかな暮らしをぜひ体験してもらいたい。

 

PHOTO:岡田泰治

作品データ

所在地: 島根県 松江市

施工会社: 株式会社たみつ建匠舎

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