所在地: 静岡県 浜松市
延床面積: 71㎡
ヤドカリプロジェクト#2
木造2階建て・リノベーション・71㎡
住宅街の中で現在進行中の空き家リノベーション。
この家には下屋や出窓など「突出したボリューム」がある。これらのボリュームを建築的にどう扱うかが一つの主題でもあった。家の中心的な空間は1階の土間だが、「突出したボリューム」が土間と外部環境をそれぞれ異なる方法で関係づけることで、建築全体の豊かさを引き立てられると考えた。
敷地の東には2mほど高い隣地との間に擁壁がある。減築により生まれた屋外空間は「囲われた庭」となっている。東の下屋には屋外からも使える全面開口のキッチンを整備し、このプライベートな庭と擁壁に静かに向き合える空間とする。西側には出窓があるが、東側とは逆に隣地が低く視線の抜けを確保できるため、地袋を撤去し掃き出し開口として出窓を「額縁」のように設える。北側には出窓や下屋はないが、小さな窓を設けることで土地や外部との関係性を相対化させる。そして2階は、土間と空との関係を取り持つ。南の下屋はアプローチの突き当たりでもあり、近隣や来客を受け入れるこの家の態度を表象する空間となる。
既存の洋間を解体して屋根だけ残した大らかな軒下空間とする。畳敷きだった1階の和室は、床を撤去してベタ基礎補強をしたのち、そのまま土間として使っているが、土間のレベルは周辺地盤より少し下げている。これは、床下の土を鋤き取って増設基礎の重量を相殺するためでもあるが、路地を下るアプローチのシークエンスを踏まえ「地形を建築に引き込む」選択をしたことも理由として大きい。
・第7回日本エコハウス大賞・奨励賞(自邸・モデルハウス部門)
・2023年度グッドデザイン賞受賞・BEST100入選(ヤドカリプロジェクト)
所在地: 静岡県 浜松市
延床面積: 71㎡