山間のねじれ屋根

作品紹介

計画地はその茶畑へとつながる山道にある集落の一角で、北側にはクライアントの実家と祖母の家があり、畑として使われていました。周辺には10件程の住宅が建っており、集落の中のぽっかりと空いた隙間に家族が移り住む計画です。北側の実家への採光や、農地転用の際の建蔽率の規制を考慮し、平屋での計画としました。

集落は山間につくられているため、東西に山が広がっています。東西の山のうち西側の山はがけ条例がかかっており、土砂を受け止めるL字擁壁かつ目隠し壁としても機能するような基礎と壁を設け、これを手掛かりとして設計をスタートしました。敷地には昔から大事にされてきた梅の木があり、クライアントからの要望で残すことが決まっていました。これを避け各要望・要件に必要な面積を確保すると、自然と雁行した平面計画となりました。L字擁壁がかからない北側には水回りをまとめ、擁壁に守られた南側には各部屋をまとめました。北側は玄関から物干しデッキまで東西に通り抜ける動線とし、実家との緩衝帯としても機能しています。また敷地は緩やかに東側へ下がっているため、室内の段差で勾配を吸収しました。この段差は各部屋の空間を切り替える役割をはたしています。

雁行した平面や段差のある断面は、変形した寄棟の屋根で覆いました。この変形してねじれた屋根は、内部では大きな気積と一体感を与え、外部では勾配の変化で山と呼応し周囲に溶け込んでいます。

 

Photo:Kenta Hasegawa

作品データ

所在地: 静岡県 菊川市

土地面積: 320㎡

延床面積: 79.91㎡

土地の形状: 傾斜地

施工会社: 杉浦建築展

作品集

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