掛け軸がつないだ物語(古民家リノベーション)

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作品紹介

南埼玉群岩槻町、明治拾参年 辰 壱月。
この建物は広大な農地の一角に位置し、茶農家の奉公人の住まい(長屋門)として築造されました。母屋の床間に掛けられた1幅の掛軸。そこには140年前の茶畑の情景が描かれ、色鮮やかな建物や賑わいある人々の姿が窺えました。
改修は歴史の通過点として捉え、できる限り躯体を活かし、柱梁の基本構成を維持した計画としました。随所に過去の工法を取り入れ、現代的な要素とバランスをとりつつ、本来の建物の持つ趣を蘇らせました。周囲に広がる長閑な田園風景。敷地内の樹木や竹藪は程よく隣地との視界を遮り、プライバシーを保ちながらも、室内に美しい陰影を映し出します。
当時としては斬新だった浅葱色(あさぎいろ)が、令和の時代を経て、次の世代へと繋がるイメージカラーとして、人々の印象に残るものであって欲しいと願っています。

 

・第37回住まいのリフォームコンクール 国土交通大臣賞受賞 2020年
・グッドデザイン賞受賞 2020年


Photo : 今村壽博

作品データ

所在地: 埼玉県 南埼玉群

土地面積: 499.95㎡

延床面積: 108.96㎡

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