所在地: 滋賀県 大津市
土地の形状: 狭小地
二重壁のスキマ
新しく分譲地として開発された角地に計画され、一方を大通りに、一方を分譲地の道路に面する北西角地の敷地になっています。
東・南面は住宅に囲まれ、西・北面は通りに面していてプライバシーを確保しながら外部に開いた空間は確保しにくい環境にあります。
一般的な住宅のように外部に大きな窓を設けていても目線が気になり、カーテンなどで閉め切り開放的に使用できないのは快適な空間とは言えず、
内部と外部を単にはっきり分けてしまうのではなく、ゆるやかに分けることにより、より快適で豊かな空間はできないかと考えました。
そこで、外の空間と中の空間の「スキマ」に着目して計画を行いました。
「一部の外壁を二重にしてスキマをつくる」ことで周囲に閉じながら開く空間を考えました。
道路と建物のあいだの一枚の壁には開口を設け光と風を取り入れます。
この開口は建物の窓の位置から少しずらし、プライバシーを確保し快適な環境を生み出しています。
この「スキマ」は庭やバルコニー・エントランスになり、プライバシーを守るだけでなく、多様な空間が広がっています。
道路と建物の「スキマ」に内部とも外部とも言えない曖昧な空間を設けることにより、
採光と風を取り入れながらもプライバシーを守り、開放的で快適な暮らしのできる建物となりました。
この「スキマ」の空間は、リビング部分と隣接して使うことができ、リビング空間の一部としても、ガーデニングや緑の感じられる外の空間の一部としても使用できる多目的な空間となっています。
庭が広がり、狭さを感じさせない広くて明るいリビングは家族に温かい時間を提供し、窓を開ければ、家族との時間に心地よい風が流れるでしょう。
このような、シンプルだけれども豊かにする「二重壁のスキマ」提案は、新興住宅地での一つ新しいモデルになりえることを期待しています。
所在地: 滋賀県 大津市
土地の形状: 狭小地