所在地: 滋賀県 甲賀市
延床面積: 9㎡
建物価格: 2000万円未満
外構と建物の狭間
敷地は、古くからの歴史のある道「東海道」が通り、かつてお店や宿が立ち並ぶ賑やかな街並みでした。
現在では、過去にお店を営んでいたとわかる建物もいまだ建ち並ぶ旧市街地ですが、住宅地として変化しつつ、この「東海道」と建物の関係性も変化してきています。
依頼主の先代も昔、たばこ屋と営んでおられました。
今回のプロジェクトはそんな建物をリノベーションし、新しく子世帯が親世帯と共に暮らす2世帯住宅にする計画です。
日本では、10㎡以下の増築の場合、法的な緩和措置があり、手続きが簡略化されます。
そこで、増築部分は10㎡に押さえ、外構を豊かにすることで内部と外部を繋げ、広がりのある空間はできないかと考えました。
私たちは、外構のあり方に着目しました。
外構のフェンスや柵といった工作物というものは、敷地と道路をはっきり分け、プライバシーを守るために設けられます。
この敷地と道路を分ける工作物をもっと柔軟にとらえ、プライバシーを守りつつ地域と住人の狭間をデザインしました。
ランダムに設けられた壁と植栽を植えたボックスは、道路と外構と建物をプライバシーを守りつつ緩やかに繋ぎ外との関係性をゆるやかにしてくれます。
塀のような外壁のような建物のような外構が、敷地境界から徐々にボリュームが変化し既存の建物に寄り添い、いつの間にか機能を持ち建物として存在していきます。
このように流動性を感じる空間をつくることで、完全に外と内を隔てるのではなく、あいまいな場所を生み出し、その空間が豊かさを感じる場所になります。
また、外からこの空間を見る人々は、建物が徐々に外へと溶け込んでいるような不思議な感覚を感じることができるのではないでしょうか。
そして外構でもない、建築物でもない、ランドスケープと建築物を融合させたことにより生まれた豊かな空間となりました。
所在地: 滋賀県 甲賀市
延床面積: 9㎡
建物価格: 2000万円未満