豊科光の住宅

作品紹介

敷地は光城山の西斜面に位置し、西向きに安曇野の景色、南には庭が広がる伸びやかな土地。

親の土地を分筆して建てる住宅であり、母屋と道路との間に位置することから母屋よりも軒先を低くし、1mほど高い道路からも控えめな外観とした。さらに、母屋の寄棟屋根に呼応させて玄関屋根は寄棟にしており、外観上でも母屋に寄り沿うような雰囲気を目指した。

小さな子のいる4人家族であるが、いずれ母屋の個室を利用すればよいという判断により、寝室は一つだけの小さな平屋住宅である。配置に際しては敷地南側の庭と西側景色を最大限活かすことと、母屋との程よい距離感を重視した。その結果、道路に沿った長い平面形から居間が飛び出たT字型をしている。居間は片流れの屋根とし、全体の軒高を抑えたなかでも十分な天井高さを確保している。その片流れ屋根は、同時に母屋への冬の日陰も最小限にとどめるための工夫でもある。

この住宅の最大の特徴は、広く開放的な居間と庭をつなぐ役目のL字型テラスである。テラスの奥行きは6尺(1.82m)もあり、さらに軒先までは2.7mを越す深さであり、広く懐の深い空間である。四季折々の半屋外的な暮らしの営みを楽しむための場所となる。

その一方で深いテラスは居間を暗くする欠点があるが、高窓からの日差しにより真冬でさえも居間の最奥まで直射日光が入る。そしてまた、この高窓は夜には星や月を見上げることもできる。洗面脱衣室や寝室も全てこのテラスに面しており、テラスの天井板を内部に伸ばしていることも、内外の暮らしをつなぎたいという意図による。

そして玄関に面しては、奥様が音楽の教師であることから小さなグランドピアノを置ける小空間をしつらえた。カーテンレールを天井に埋め込んであり、響きを調整できるようになっている。

作品データ

所在地: 長野県 安曇野市

延床面積: 111.47㎡

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