所在地: 大阪府 大阪市
作品紹介
今回の敷地は大阪市内。
建主はL型の敷地を用意していた。
繁華街に近く、オフィスや高層・ 低層の住宅と共に、戦時中に焼失を免れた町家も残っている地域だ。
道路を挟んで向かい側にも路地があり、地域住民はその路地を使い生活をしている。
この向かいの路地から道路、そして敷地の端からLの折れ点、さらに端部へと歩いていくと、その節々ごとの都市風景を見ることができた。
細長い敷地は、同じ面積の敷地と比べて、端から端まで移動できる距離が長く、移動を楽しむことができる。これらの都市風景の断片を、外部へ透過させながら内部に入れ込むと、このLの敷地の個性が増幅すると考えた。
そして、建主も外でのアクティビティを嗜む方だったこともあり、生活の中で触れる「外」を豊かに 感じられるように、家の構成を考えていった。
建主が持つ生活を整理しながら、それぞれに必要な最低限のヴォリュームを単純な矩形に整える。そして敷地と照らし合わせ、矩形を組み合わせて営み同士の関係性を考える。
今回の建主の家族構成は単身。寝食と寛ぐためのヴォリュームのほかに、建主の趣味である自転車の収納・整備のためのピット、室内に入る前にアクセスができるシャワールームのヴォリュームが必要であり、それらを繋ぐと、少し細長い矩形になった。
これをL型の敷地に合わせて引き伸ばし機能の境目でぽきっと折り、その折れ目を開かれた「外」にした。すると、内部空間はふたつに分かれ、向かいの路地から前面道路、家の中へと「外 → 内 → 外 → 内 → 外」と移動していくことになる。
その内外の切り替わりと生活の機能を対応させ、生活の場を整えた。
PHOTO: 山田圭司郎 YFT (1,4,6,7枚目)/ 高橋菜生 (2,3,5枚目)