所在地: 広島県 尾道市
延床面積: 122.87㎡
コロナ禍に端を発するウッドショック真っ只中に計画をした2世帯住宅である。フィジカルなコミュニケーションが避けられる中、新たな土地に移り住む家族が周囲との関係を前向きに育めること、高騰する材料費を吸収すべくコンパクトでありながらも豊かな空間の広がり感じられる家を目指した。
間口の狭い箱型のボリューム(東側)と切妻屋根のかかる小さな小屋(西側)によって吹き抜けの階段室を挟みこむ構成となっている。子世帯(2階)の大きな玄関でもある階段室に設けた型板ガラスの大きな円弧窓は、1階の親世帯と気配によって柔らかく繋がる装置でもある。
2階で大きく外側に伸ばしたテラス(庇)と少し浮かせた壁は、LDKを外の風景と連続させ、水平方向へ実面積以上の広がりを感じさせる。壁と一緒に浮いたブリッジと浮床は、空まで吹き抜ける階段室を飛び越える回遊性と高さ方向の多様な空間体験をつくり出した。浮床の下は大容量の床下収納となっており、面積を抑えつつも十分な収納量を実現した。
雁行させた1階外壁は里道に対して交流の場を生み、大きな庇の下では敷地境界を越えてこども達が走り回り、庇の上ではテラスに足を投げ出して借景を楽しむ。この家の建ち方は、本土から島に移り住む家族が地域に能動的にかかわっていくという意思表明である。
Photo : YASHIRO PHOTO OFFICE
■「ひろしま住まいづくりコンクール2023」にて新築部門 最優秀賞を受賞
■「2024年度グッドデザイン賞」受賞
所在地: 広島県 尾道市
延床面積: 122.87㎡