所在地： 東京都 目黒区
作品紹介
都市の中庭
この住宅は東京山手線目黒駅の近くにあるマンションの改修計画である。都心に住みながらも、施主は太陽の陽射しと緑とゆるやかな風に囲まれ、友人が気軽に集まれる暮らしを求めていた。
建物は傾斜地に建ち、東京の街を一望できる場所に建つ。部屋と同程度の陽当たりの良い広い庭があり、たくさんの植物が植生する。この豊かな外部環境を部屋の用途に合わせてグラデーショナルに室内に引き込みたいと考えた。
もともと3LDKだったプランを2 LDKにし、個室1室とリビングを繋げて大きなリビングにしている。リビングや廊下の中央にはいびつな梁が通っていて、露出させればリビングや廊下を分断させてしまう。
この梁を覆うようにパーゴラを、廊下から寝室、リビングと部屋全体に通し、それ自体を照明とすることで部屋を灯し、部屋と部屋、部屋と屋外を繋げる要素に置き換えることを提案した。
パーゴラは、廊下や寝室やリビングに対して外部環境を示唆し、リビングから庭へフラットに続いていく床によって、リビングを屋外と連続した「中庭」として意識できるようにしている。
家に伺う度に交友関係の広い施主のご友人がよく集っていて、このリビングが都市の中の「中庭」のように、従来のリビングとは異なった公共性を帯びていた。コンクリートがひしめき合う都心でも、心地よい風や陽射し、そして自然を感じながら人が集う、人間の根元的な喜びを感じられる暮らしが実現できたと考えている。
Photo : adhoc
