作品紹介

金沢市内の住宅街にある邸宅。
既存建物はフロア別に分離させた二世帯住宅であったが、過ごす家族の変化に伴い、親世帯が暮らしていた一階に居住スペースを移す為、主に一階をリノベーションした。
最初にこの建物を訪れた際、印象的だったのが以前から定期的な剪定を行なっているであろう庭。
灯籠や飛び石、樹木や苔、広い濡れ縁のある景色はかつて施主の父が丁寧に手入れをし、それを愉しんでいたであろう感慨深い景色であることを節々に感じた。
今回、初回の相談から建て直しではなく、建物の部分改修という相談に対して、そうであればシンプルにこの庭を中心に新しい歴史が刻むことが、物理的な「建物」だけでなく「家族の記憶」も継承していく最良の醍醐味として提案することとした。

 

本計画では庭の景色と居住空間を最大幅の開口で繋ぎシームレスな関係性を形成することで、日々の外部環境を取り込み愉しむことができる豊かな空間として計画した。
この開口部分では、和風の庭、室内に入る自然採光の表情、景色の間伸びや窓際での居心地を最大限に引き出すために2段の折上天井を設けて出来るだけ天井高さを低くコントロールしている。
また、施主の希望で親世帯を使っていたウォールナットのダイニングテーブルを家具業者にて表面を再度サウンディング、穴はレジン埋め、オイル塗装を施して再利用することとした。

 

施主ご夫婦のもとには孫がよく訪れる。
孫たちにもこの景色でまた新しい歴史と記憶が刻まれることで、更に全ての家族に寄り添う建物となったであろう。

 

Photo:高橋俊充

作品データ

所在地: 石川県 金沢市

延床面積: 70.78㎡

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