所在地: 和歌山県
作品紹介
この住宅は、夫婦と1人の子どものための木造2階建ての住宅です。
敷地は、旧熊野古道沿いに位置し、元農家の建て替えとなっています。
施主は、ペットを自由に遊ばせることができる中庭があり、切妻屋根の勾配天井の建物で、敷地北東側の施主の農地に向かってLDKから眺望が望めることを希望されました。
建物は、約56度の勾配を持つ切妻屋根が2棟平行に配置されています。この2棟の切妻屋根は、平面グリッドに対して約26度斜めに回転しており、LDKから敷地北東側の農地への眺望が確保されるとともに、敷地北西側には駐車場が設けられています。妻側の部分は平面グリッドの直交ラインによって切り取られた形状となっており、その結果として生まれた複雑な形状の屋根の下には、その形のままの彫刻的な空間が広がっています。
構造材の加工は、軒桁より下の部分はプレカットで対応し、複雑な屋根部分は大工による手刻みで行いました。大工が墨付けできるように、SketchUpで3Dモデルを作成し、各部材の寸法を拾い出して大工に手渡しました。また、接合金物についてはSketchUpの3Dモデルを元に構造家に指示していただきました。
西側の道路に面する側には窓を設けず、各居室は中庭に向かって開かれています。浴室も同様に中庭に面しており、プライバシーは中庭を取り囲む高い壁によって確保されています。
内部空間は、ディテールの表現を最小限にとどめており、光の移ろいが美しく映し出されるミニマルな空間となっています。
Photo:笹の倉舎 / 笹倉洋平