COSMIC TOWER

  • 南側外観。左右の壁と屋根はコンクリート打放し。窓はスチールサッシ黒味錆色塗装。レンガ壁は太目地ざら目地仕上。街路樹を借景している。Photo by スパイラル小林浩志

  • 北側外観。北側は思い切って大胆に寺院に開放している。円筒は屋上へのらせん階段。

  • 道路側の窓・陽光が差し込んで居心地の良い空間となっている。床材はオーク材。天井はコンクリート打放し。

  • デザインジム所フロアー内観。南北に抜けたスペースで黄色い壁部分はコピー室と便所。床と棚板は全てオーク材。

  • 階段室を見る。エレベーター扉及びスチールドアは全て黒味錆色塗装。階段のひとつひとつのコンクリート段は全て壁よりキャンチレバーで飛び出ている。床はオーク材。

  • 3階食堂。寺院に開放されている。手摺は強化ガラスで犬と人の落下防止。

  • 最上階の寝室。南北に抜けて風が気持ちよく通り抜ける。床は300角タイル貼。壁は左官塗り。

作品紹介

この敷地は運良く北側に緑の多い薬王院の境内を一望でき、上層階の南側からは天祖神社の比較的大きな森が見え、北の遠方には観泉寺の森が見える。さらには東側、青梅街道の延長戦上に東京都庁舎が遠望できる恵まれた環境にある。したがって各階の北側内部からは京都、幡枝離宮跡である円通寺に代表される借景の手法を用いて、隣接する薬王院の境内に向けて大きく開放した。そして寺院の本堂と杉と銀杏の大木の立つ姿を横長の開口部によって生け採った。

一方で南面する青梅街道側の下層階は交通騒音の影響が強いので、コンクリートの両壁に特注した二丁掛けの墨色タイルを太目地芋貼りとしている。道路からの防音を意図して、壁面中央をスリット開口にした。そして内部から街路樹を見せて陽光を採り入れた。

南面の4階・5階は住宅の居間・食堂・寝室ということもあり、大きい開口としたが、道路からの音の侵入は避けたいので、小さく連続するマリオンで嵌め殺しとして、風を採り入れるための最小限の開き戸を設けた。

建築の構成は限られた空間の中で南北に抜けていく視線を確保し、広がりを獲得することに主眼をおいた。

作品データ

所在地: 東京都 杉並区

土地面積: 73.81㎡

延床面積: 227.42㎡

土地の形状: 平地

施工会社: 岩本組

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