所在地: 東京都 練馬区
作品紹介
雑木と小さな畑と暮らしを育む住宅 。
かつてこの地域には農家の屋敷森、納屋、そして畑、雑木林が点在し、のどかな風景がありました。しかし、現在では、畑や雑木林の多くは建売住宅地や駐車場へと姿を変え、農家自体も数が減り、屋敷森も姿を消しつつあります。
低層住居専用地域であり、農地の名残で風致地区が設定されているため事業としてやれることは少ない。このままではいずれ駐車場の多くが建売住宅化し、均質な街になるのは明らかです。
その流れに一石を投じ、かつて自身が育ったのどかな暮らしの風景をこの地に再生させたい、建主のそんな思いから生まれた集合住宅です。
夏季は南の大開口から北の高窓へ風が吹き抜け、冬季は建具の操作や集熱排熱ダクトにより温熱環境を調整できるため、機械空調に頼らずに生活することができます。
納屋を想起させる外観と無垢の素材を多く使用した内部の空間。その内外にわたり並列に配置された「通り・土間・居間・縁側・畑・雑木」の間を行き来しながら、雑木を眺め、畑や庭に触れ、日差しや風の流れを五感と身体全体で感じられる住宅となっています。