所在地: 滋賀県
作品紹介
滋賀県南西部の開発された住宅地に建つ2世帯住宅。
数年前まで田園風景が広がっていたこの地域も、ここ2、3年で大きく景色が変わることになった。部分的に開発が繰り返されたことにより、この周辺では珍しい旗竿敷地として売り出されていた。土地購入時には空いていた南、北側隣地もすぐに住宅が建ち、囲まれることが予想される敷地形状のなか、プライバシーを守り光と風を取り入れ、二つの世帯が程よい距離感を保つことができる空間がテーマとなった。
建物の構成は、玄関を共有する形で1階に御両親世帯、2階に若夫婦世帯となっており、ストリップ階段でつないでいる。1階LDKの階段側の壁に大きなFIX窓を設置することで、階段上部のトップライトからの光を取り込むとともに、ご帰宅時などにはガラス面に2階へ向かう人影が映ることで気配を感じ、2つの世帯をつなぐ重要な役割を果たしている。
2階LDKに関して、南面の開口はハイサイドライトのみにし、東面もデッキバルコニーの壁を立ち上げることで隣地の建物を遮断し、落ち着いたプライベート空間を確保している。
また、寝室は小屋裏空間を利用し、天井高さを上げてロフトをつくり空間に変化をつけている。
当初の予想どおり建物完成時には4方共建物が建ち並び、外観は少し閉鎖的な印象を与えるが、建物内部では周りの建物をカットし視線の抜けをうまくコントロールすることで、光と風が通る穏やかで開放的な住まいができあがった。
photo:太田 拓実