■ 竪の家
必要最小寸法の検証と快適性の実証 この住宅は佐々...作品紹介
季節風と周辺環境
暮らしと自然の距離
敷地は住宅地にある両親宅の前庭である。この住宅が建った後の母屋からの視線の抜けや陽が指すように断面の検討を行った。また、この地域には冬季強い西風(伊吹おろし)が吹く。そのため屋根を地面近くまで伸ばし、冷たい風を屋根で受け流すことで建物への熱負荷を抑える計画とした。夏季は様々な箇所に設けられた中庭及び中央のヴォイドから内部に溜まった熱を外部に排出する計画とした。複数の中庭はプライバシーを確保しながら光と風を室内に取り込めるため特に人通りの多い住宅地において有効な方法である。また内部では居室と中庭が交互に配置されており、どのような用途の部屋であっても「自然」が寄り添う形となっている。そのほか家族のコミュニケーションについて、エントランスと向き合ったキッチン、2階全体をワンルームとした子供部屋、家族の声を上下階で伝えるための吹き抜け(ルーバー床)などを提案した。コンパクトな敷地を最大限利用しつつワンルームを中庭で緩やかに隔てながらつないだ住宅である。