■ 竪の家
必要最小寸法の検証と快適性の実証 この住宅は佐々...作品紹介
自然が通過する、縦と横の開口。
内部をつなぐ境界。
建主は東側への眺望が良いため、この敷地を選ばれた。隣接する線路は廃線となっており人通りもなく、良好な景観が得られる高台である。また西側は一部視界が抜けるが、南北には住宅が立ち並び、方位によって環境が大きく異なるといった特徴のある場所である。
視界の抜けが得られる東側は縦長の開口、眺望の良い西側には横長の開口を設け、その2つの開口をつなげることで内部空間を構成することにした。縦と横が内部でつながる住宅である。
エントランスを抜けると東側に向けて「徐々に高さを絞りながら水平方向に開いていく空間」となり逆にリビングから西側に向けて「徐々に平面を絞りながら鉛直方向に開いていく空間」となっている。移動する方向によって水平・垂直に拡がっていくワンルームである。
ワンルームの住宅は全体が見渡せることや、場のつながりが強いことなどメリットが多いが、単調な空間になることもある。この計画では東西の良好な風景をつなぎながら、そのワンルームに奥行きと密度を与えるべく「空気の境界」を設けることを提案した。神社で鳥居を潜るときに感じるあの感覚である。
壁や扉ではなく木枠による境界は存在として感じられるが弱く、ワンルームでありながら別の領域として認識されることもある。木枠は境界としてだけではなく、手摺子や将来の間仕切りとして可動するもある。
豊かな敷地環境と内部がつながり、内部の各居室が緩やかに隔てられながら、つながっている。