■ 竪の家
必要最小寸法の検証と快適性の実証 この住宅は佐々...作品紹介
内外、二世帯をつなぐ光庭
建替えによる二世帯住宅の計画である。今までも建替え前の解体に立ち会う度に、まっさらになってしまった敷地を見て違和感を感じてきた。施主にとっては想いや記憶の残る建物であり、地域という視点では街並みの一部として存在していた住宅である。そこで建替え計画であっても過去の風景を残しながら更新するのがよいと考え、既存の塀や庭を残しながら新しい住宅が馴染むような日本家屋的な外観を持つ住宅を提案した。その大屋根の一部を窪ませ建物中央に光庭を計画し、世帯間を隔てながらつないでいる。光庭では光溜まりが浮かび上がり、時間変化によって自然光の彩りが内部空間に展開する。単純な屋根の操作により空への視界の広がりや通風、採光など住宅密集地でありながら自然が身近なものとして感じられる様になっている。光庭を介して向き合う四つのスペースは天井勾配によって空間の独立性を保ちながら、緩やかに繋がっている。また光庭との高低差によって視線も程よく遮断され適度なプライバシーを確保している。外観は既存塀や庭を参照し、内部空間は街並みにある住居間関係を用いて組み立てた。光庭に浮かび上がる光溜が内外、居室間をつないでいる。