■ 竪の家
必要最小寸法の検証と快適性の実証 この住宅は佐々...作品紹介
光とスケールでつなぐ
古民家改修の作法
江戸時代後期、築150年の住宅の改修計画である。
当初紅梅酒の造り酒屋であった建物が数回の改修を経て現在に至る。その後住居の一部が借家になり、改修直前は郵便局が入っていたこともあった。そして郵便局が移転した後は時間が止まっていた。また、この地区は伝統的建造物保存地区に指定されており、本建物にも街路に面する外壁と屋根は復元が義務付けられていた。クライアントからの要望は既存を活かすこと、一年を通じて快適な室内環境を得られること、また住宅の機能に加え、茶事ができる室とギャラリーの設置が求められた。それらを踏まえ、おおらかな古民家をプロポーションの異なる大小のスケールに分割し、そこに大きな開口と、室内をほのかに照らす小さな開口を組み合わせ、水平、垂直方向に光で空間をつなぐ計画とした。
私たちは新築に限らず生活に必要な機能的な明るさを計画するのではなく、光を通じて自然を建築から感じることや、自然と建築が重なる時に浮かび上がる情景に建築の価値をあると考えている。この計画ではさらに150年前の建築とそれを再生する施工者の技術に常に敬意を払いながら、多くのことを学びながら、これまで新築の計画で取り組んできた意識に響く、光とスケールの実践を試みた。