■ 竪の家
必要最小寸法の検証と快適性の実証 この住宅は佐々...作品紹介
敷地はいくつかの候補地を見たうえで、施主と共にこの場所を選んだ。利便性が良いだけではなく、環境が恵まれていたからだ。敷地西側は住宅の先に中高層のビルや病院が立ち並んでいる。敷地東側は神社のある森が広がっており静かに時間が流れている。都市と自然の境界に、この小さな工房は立っている。
敷地は2面道路に接しており、道路中心から2m後退した位置が敷地境界となり、さらに風致地区のため隣地境界から1.5m、後退した道路境界からさらに2m後退した位置にしか建物が建てられない。法規により後退した約9坪がここで建設可能な敷地面積であった。よって敷地形状をオフセットした、ショートケーキのような形状が必然的に導かれた。用途は1階を陶芸工房として使用し、2階は梱包やギャラリー、セカンドハウスや来客の宿泊などを想定している。各居室と周辺の風景をつなぐことで小さな建築に多様な個性がうまれると考え、3つの開口を計画した。1階の工房と森を地続きでつなぐこと、階の移動時に通過する階段室は街を眺める場とすること、2階は額縁によって切り取られた森が飛び込んでくることを意図した。小さな建築に大きな窓を設けることで周辺環境がそのまま内部空間の印象につながり、街や森の中にいるような感覚を覚える。この小さな工房は、法から定めれらたヴォリュームに、立地から導かれた開口を設けることで、規模を超えて多様な風景とつながることを意図したものである。