所在地: 愛知県
作品紹介
「庭先に仕事場として空間を作ってほしい」という依頼から始まりました。よくよく聞くと、既に3社くらいの案が存在。どの案も”小さい建坪ながらも空間を最大限に確保する”という順当な案でした。
しかし、今回は施術に来られるお客さま目線に重きを置いた空間造りであることは絶対条件。これにより”大きな空間の確保する”ということの前に、既存の建物の形に左右されない「居心地の良い」断面構成とすることを第一に心がけました。
身体の左右のバランスが崩れると体調も崩す要因にもなります。
これは視覚的なことからも影響が出やすく、しかし単なる真四角の空間では全ての要望を満足させることができない。
本案件ではそういった背景を考慮しつつ、「小さな空間で左右対称」というキーワードをコンセプトとした「船底型の天井」を採用しました。
また、南側隣地は空き家となっており、庭全体に植えられている木々が勢いが良すぎるほど育っています。環境面でマイナスな面しか無かったこの隣地の樹木ですが、ハイサイドからの借景という単純なアイディアを1つ組み込むことによって、マイナスなイメージをプラスなものに変換できます。
通年を通して赤い葉を茂らせる紅葉。秋には柿の木に実がなり、そして柚の木も実を付けます。
マイナス面が全てゼロすることは容易ではありませんが、昨今の住宅事情では容易に手に入れることのできない、本当に贅沢な話しだと思うのは私だけだでしょうか?
photo:m5_architecte