黎明輝

  • Photographs: Taisuke Inatsugu | 稲継泰介

作品紹介


都心の路地に建つ築25年が経過した小さな建売住宅の改修である。

計画建物前の路地は袋小路状になっており、格子窓で覆われた近隣7軒がぐるりと囲う。

計画は、建主の将来を見据えて2階にあった居間・食堂・水廻りなどの生活上主要な機能を1階へ移すこと、袋小路を近隣の皆と楽しむ小さな庭として捉え直すことからスタートした。

また使われていなかった駐車場は土間空間として内部化し、新しい生活スペースと小さな庭となる袋小路とを緩く繋げつつ、近所の仲間や友人が靴を脱がずに気軽に立ち寄れるような緩く開かれる場所、袋小路のホワイエとすることを考えた。
同時に、家族構成の変化に合わせ各階の不要な床や壁を取り払い、木架構を現わし、土間上部はガラス床とし、柱と同サイズの筋かいで開放的に耐震補強を行っている。

密集市街地では光の届きにくい1階へも、ホワイエやガラス床、開放された架構を通し陽光を溜め、階ごとに分断されていた家全体へも光や風が通っていく。

他階にいる家族が互いに気配を感じながら、この住宅が本来もつ大きな気積を体感できるようにした。
路地の暗がりの中、建主と隣人たちとがホワイエに届く陽光、団欒や戯れる子供たちの姿をともに楽しめる関係をつくる、そんな袋小路のリノベーションになればと考えている。

作品データ

所在地: 東京都

延床面積: 67.96㎡

施工会社: 大倉工務店

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