所在地: 神奈川県 川崎市
延床面積: 40.44㎡
小さな事務所です。
鉄工所など大きな工場のある地域。そのとある一角、住まいが点在しているような場所。平日は近くの工場から鉄を扱う音が響いているような場所です。事務所は駐車場として利用している敷地の一部に計画。事務を行い、接客を行う小さな事務所。敷地内には3トンユニック車や従業員の駐車スペースが必要で、事務所はそれらの場所を確保しながら配置計画を開始しました。人の出入りはそれ程多くない。長い時間をその事務所で過ごす事になる。喧騒から逃れ、静かな人の居場所をつくるのが相応しいと思いました。配置された事務所の位置からは、東南方向に抜ける視線があり、空を感じる事ができました。
そしてこの一番良い場所に庭をつくりました。周囲からは見えない囲まれた庭。中庭のように室内に入らないと存在すら知る事のない庭です。来客はソファーに腰掛け庭を見ます。働く人は事務宝から椅子に座り庭を見る。季節や時間の変化を感じます。空の様子を伺ったり、木々の変化を感じたり、小鳥が囀ったり、平和で落ち着いた日常を想像して。この事務所の主役は室内ではなく、この庭にあります。この庭との関係を考える事が大切だと考えました。どう外とつながりどう外と遮断するか、それが人の居場所をつくるという事だと思います。この事務所を介して、人と外(自然)が番良い状態でつながるように。
内装には自然素材を多用しています。床は土足でも安心な傷にも強く丈夫なオーク無垢材。手が触れる所には無垢の木を使った引き戸や家具を。壁や天井には珪藻土を用い、表情豊かで空気感の良い場所になっています。また自然光が美しく感じられるようノイズの少ないピュアな壁や天井をつくるよう努めました。応接室と事務室、給湯室は引き戸で分け隔てられていますが、上部が開放され曲面の天井でつながります。視線を遮り、光や気配がつながる、そういう様子が美しい場所になりました。事務室のデスクが置かれた位置からは応接室の様子を程よく見る事ができます。反対に応接室からは事務室のデスクの様子がわからないよう適度な距離で斜めにつながっています。事務室と給湯率とは直線でつながり、応接宝からは給湯室は見えず、引き戸上部の気配でつながる。使われ方を想像し、機能的で動線の良い配置計画としました。
完成後、建主から「自然の光にはやっぱり敵わないですね。」と言われ、嬉しくなる。目指していた世界が少しはできたのかなと。
所在地: 神奈川県 川崎市
延床面積: 40.44㎡