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　　古い日本の家へ行ってみると、南側の一番良い場所に、床の間のある和室が陣取っていることに気がつきます。そして、それらの部屋は、普段から家主にとても大切にされていて、日常的には使用されていません。大切な人が訪れた場合にのみ、その場所へと案内する特別な部屋となっています。南側を客間に占領された家主は普段どこで過ごすのでしょうか？普段使いの部屋は、日当たりや景色などの条件が悪い北側にある場合が多い様です。

　今回依頼されたリフォームは、南側に手入れされた庭が有り、縁側、和室と続く伝統的な間取りの日本家屋にお住まいの方からでした。南側の和室は、そのまま手を加えずに、その隣の北側３部屋をリフォームしてほしいというのが要望でした。北側の３部屋は、やはり暗くて閉鎖的な部屋でした。恵まれない場所にあるかわいそうなこの部屋達を、居心地の良い部屋へと変身させる事が今回のテーマとなりました。

　一般的に北側の部屋は、部屋の中に直接光が入りにくい構造となっています。今回も直接室内に光を落として明るくする為には、天窓を取り付ける以外には無さそうです。しかし、既存の北側の部屋の窓から外を覗くと、そこには、日差しを浴びた木々が見えました。そこで、部屋を明るくする方法として、この光を間接光として、また景色を借景として室内へ取り込む事にしました。

明るい外の風景を取りこむ事で部屋自体は暗くても、暗さを感じさせない部屋となりました。また、間接光の効果を少しでも上げる為に室内は白を基調としたインテリアでまとめました。

　なるべく使いたくない南側の和室は、ガラスの入った建具により仕切る事にしました。実際には部屋を使用していなくても視覚的に空間を利用する事にし、また、その和室越しに南側の庭も見せる構成としました。そのことにより、北側の庭と南側の庭が連続的に繋がって開放的になり、また、通風もよくなりました。

　現場で天井を解体中に、見事な梁が姿を現しました。家の歴史を物語るこの梁をきれいにして、部屋の中に現す事にしました。