葉山の別荘「土龍庵2帖台目の席」

作品紹介

この別荘は、海を一望できる南向き急傾斜地に位置し、茶室は建物の北側にある。地盤は粘土質で水はけが悪い。雨が降るとぬかるみが酷く、足をとられる始末である。そこで、雨水処理を重視して、コンクリートで枯山水の茶庭をつくった。荒涼とした枯山水の茶庭に州浜を設け、流れの中につくばいを据えた。草木のない茶庭では、つくばいに草花を投げ入れたりするのもまた一興であろう。
また、茶室についても従来通りの、まるでどこかの文化財の写しのような茶室をつくるつもりはなかった。枯山水の茶庭に合う茶室としてイメージしたのはシルクロードの莫高窟であり、さながらほら穴の如く、荒い土壁のテクスチャーで壁と天井を一体で仕上げた。また枠材や廻り縁などは全て省き、障子の代わりに乳白の硝子ブロックを用いた。床の間には大谷石、床柱は荒い土壁に負けぬよう、癖のある霧島椿のシャレ木を据えた。この茶室では、抹茶だけでなく、気軽にコーヒーやケーキなども楽しんで貰いたいものだ。

建築前の土地

作品データ

所在地: 神奈川県 横須賀市

土地面積: 762㎡

延床面積: 285㎡

土地の形状: 傾斜地

作品集

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