所在地: 東京都 台東区池之端
施工会社: 白石建設株式会社
根津駅より徒歩2分。前面道路より奥に広く長いこの敷地には以前は4つの家屋が建っており、今回はこの敷地にひとつの個人住宅の計画でした。根津駅より近い事もあり、敷地の周囲は密接した建物に囲まれ、寺やテナントビル、敷地突き当たり奥には高低差もあり、その高台には大学の敷地がありました。
この囲まれた敷地の中で夫婦2人と子供4人の計6人が如何にノビノビと暮らせるか。
まずは敷地の前面から奥に繋がる30m超える抜けを作りました。それを取り囲むように本体の建物や約10mの塀が生えています。その外部の横方向の抜けは内の延長として取込む事が出来、開放的でありながらプライベートも確保出来ます。3F部分にある以前の長屋をイメージさせる子供室4室は、連続させながらずらす事で外部や内部に新たな縦方向の抜けをつくり、空間に豊かな広がりと動きが与える事が出来ました。
次のノビノビは、外壁や内壁、家具、水廻りの壁に至るまでのすべてのものに縦に伸びるデザインを採用し、家中のいたるところで生命力を感じ、そのモノ達と共に生きていると感じてもらえるように考えました。
第3のノビノビはこの建物の中央部にそびえ立つ大樹をイメージした螺旋階段です。木の枝を伝って歩き移動し、なにかを見つけ出しているような探究心を掻き立ててくれます。
最後にこの住宅のタイトルにもなっているKINOKO。今回の敷地の中頃には一部分だけ突出した土地がありました。そこに今回のKINOKOがあり、庭に突如生えてきたかのような錯覚も覚え、なんとも不思議な光景です。そしてこのKINOKOが家のシンボルとなり、その愛くるしいユーモラスさが家と家族の調和をはかってくれています。このKINOKOは『建築を触わる』『触りたくなる』という人に感情を抱いてもらえるような事が建築には出来ないかという実験的な要素も含んでいます。程よい距離で手が届き、普段は気にとめない裏側の面白さを触って楽しんでもらい、人と建築との距離を縮めてくれる事を望んでいます。
この住宅を触れてご家族はどのようにノビノビと暮らして頂けるのか楽しみな住宅です。
所在地: 東京都 台東区池之端
施工会社: 白石建設株式会社