世田谷HN邸

作品紹介

クライアントのご職業は写真家。職業柄、光、造形、テクスチャーにはものすごくこだわりがあります。光に関しては、南向きの明るい光より柔らかく制御された光によって満たされる空間を希望され、造形に関しては、垂直水平の箱のような空間より、ナナメの線を生かした変形の空間を望まれ、北向きの変形敷地をわざわざ探して来られるという徹底ぶりでした。テクスチャーに関しては木とコンクリートを上手に組み合わせて欲しいというのがご要望でした。

それらを実現するための面白い仕掛けとして思いついたのが、このスリット状の“裂け目”です。外観からはまさかこんなものが内包されていようとは想像がつかないと思いますが、もちろん単に意外性を狙ったものではありません。上が細く下が大きく広がっていること。南北軸に沿っているという2つの要因が、時間と空間という2つの位相にドラマティックな変化をもたらします。

スリットに注ぐ光は、上に行けば行くほど、細くて強いシャープな光になり、下に行けば行くほど、柔らかで広がりのあるマットな光に変化します。しかも、その光の状態が時間、天候、季節に応じて刻々と変化します。特に、南中時には光が深く射し込み、夏は地底深くまで直射日光が届きます。

 

撮影:傍島利浩

作品データ

所在地: 東京都 世田谷区

土地面積: 81㎡

延床面積: 203㎡

施工会社: 山菱工務店

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