心自ずから閑なり

作品紹介

都会に暮らされていたお客さまが、郊外で設える終の棲家。

そこは、深い緑地のふもと、すぐそばに小川が流れる、モミジの美しい街でした。

この街で、緑、風、水、光と影、自然や街の音を感じ取り、

躰が開放され、素直になり、心自ずから閑になる、のどかな暮らし・・・

この家は、そんな暮らしのための小さな器です。

 

出会った当時、お客さまは何年も前から住まいづくりをご検討されていらっしゃいました。私たちはまず、生涯の資金計画を整理し、そこから住まいづくりの予算枠を検証しました。

お客さまとの対話を重ね、「私らしい暮らし」のイメージを共有させて頂きました。夢は、高校時代に習った李白の「山中問答」とのこと。その中の一文「心自閑」(心自ずから閑なり)を暮らしのイメージとしました。

当初は都会から始まった土地選びですが、そのイメージにピッタリな土地は郊外で見つかりました。

「私らしい暮らし」を具現化するため、十数案のプランを検証し、お客さまと何度も相談して「これしかない」プランにたどり着きました。

間取りはあえて北向きとして、遠くの緑地を望みつつ、陽が当たり輝く庭を家から楽しめます。大きなガラス窓を壁の中にしまえば、庭と家が一体になり、流れ込む風は吹抜けを介して家中を巡ります。

室内の壁には漆喰の押さえ仕上げを採用しています。光の反射率が最上位なので家の奥まで光が行きわたり、また生クリームのように白くてきめ細かいので光が優しくなり、光と影の美しいグラデーション、時々刻々の移ろいを楽しめます。

庭は小さいながら、街に開かれたエリアとプライベートなエリアに分け、プライベートな庭は板塀で囲い水鉢を設え、野点(屋外でお茶を点てること)が楽しめます。

 

お引渡しして数か月、お客さまは自然やご近所の方々とのつながりを楽しみ、自分らしく伸び伸びと暮らしています。

 

                                   

 

外壁 | ガルバリウム鋼板、杉板

 

内部 | 大谷石、杉フローリング、漆喰 、造作木製建具、障子

 

写真 | 市中山居

 

造園 | 小林賢二アトリエ

作品データ

所在地: 東京都 東村山市

土地面積: 118㎡

延床面積: 80㎡

土地の形状: 平地

建物価格: 3000~3999万円

施工会社: 相羽建設株式会社

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