所在地: 北海道 札幌市
作品紹介
札幌の都心から程近い山の中腹に建つ住宅。
敷地は住宅街に位置するが、背後にある沢沿いの斜面には広葉樹の林が残されている。長らく空地だったこの敷地のおかげで、近隣住民は散歩のたびに沢沿いに広がる豊かな林を眺めることができた。
本計画では、その眺めを近隣から奪わぬよう、傾斜した敷地に平屋的ボリュームを架け、建物下に視線が抜ける空間を設えている。ここは玄関前の庇としてだけでなく、駐車スペースや外物置前の作業スペースになるなど、雪の多い札幌でも四季を通じて多用途に使える半屋外の場として機能する。
玄関や階段ホールも視覚的には近隣に開放されており、床に埋め込まれた植栽と背後の林との連続性によって沢へ向かって視線を誘う。やや外部的な雰囲気を持つこの階段ホールが、リビングやダイニングといった活動的な場と、寝室や浴室などの静的な場を緩く分節している。
■Photo:酒井広司