所在地: 北海道
作品紹介
北海道の北部、日本海に面した小さな町に建つ住宅。
敷地は、80年代に廃線となった鉄道防風林と、隣家が営む大きな畑に面している。プログラムとしては、4人家族が暮らす場に加え、地域の人々に福祉に関する情報を提供するSOHO的スペースが求められた。
片流れ屋根を持つ建物を、周辺街区のグリッドに対し斜めに配置し、地域を受け止める佇まいを見せながら、冬季の強い海風が当たる壁面をできるだけ小さく抑える全体計画とした。すべての居室は、地域の歴史や気候を反映した防風林に面し、四季折々の光や植物の変化を楽しめる住まいとなっている。視覚的に地域へ開かれた家族玄関をSOHOとすることで、地域住民の「入りやすさ」を生み出しつつ、家族のプライバシーを、奥行きある平面や床のレベル差などによって適度に担保できる、フレキシブルなワンルーム住宅を目指した。
北海道産のカラマツ材に木酢液を塗布することで耐候性を高め、黒みを帯びた建物は、片流れの屋根形状と相まって、地域の島で見られる希少な海鳥「オロロン鳥」を連想させる。
■Photo:酒井広司