所在地: 北海道
作品紹介
札幌市郊外の山あいにひろがる住宅地。
旗竿敷地の奥にひっそりと佇む平屋住宅は、隣地の庭木やブロック塀、敷地に残存する木々に隠れるような小さなスケールで構成されている。法で指定される札幌の「凍結深度」(基礎底深さの最低限度)を逆手に取り、メインの床レベルを地盤面から-480㎜に設定しつつ、屋根梁下までの天井高2600㎜を確保。木材の量(コスト)を抑えた低い平屋でありながら、周辺樹木の伸びを感じられる居心地の良さを担保した。
敷地に残る樹木を生かしつつ、前庭(アプローチ)、作業場、ナチュラルガーデン、家庭菜園といった、表情の異なる4つの庭を生み出すために、ほぼ正方形の平面を持つ建物を敷地の「旗」部分に45度振って配置している。敷地の「竿」部分に設えた広い通路は、正方形平面の角に当たって内部に入り、そのまま建物の外周に沿ってコの字を描いて終点に至る。その「コ」の字型空間にパブリックな玄関周りからプライベートな寝室に至るグラデーションを持った空間が連続し、「コ」に囲まれたエリアは水廻りや配管スペースを備えたコアとして機能する。
■Photo:佐々木郁也