都市に住む、ということを考えるときに、その環境に正面から向き合うような方法を取ることは難しい。やはり、家にいるときに外からの視線を意識しなくてはいけないというのは安心できないと思うからだ。反面、都市に潜む隠者のような空間をつくることもまた、本来 「人が住む」ということに対して背を向けているように感じる。 雨が降ればそれを感じていたいし、夕方になれば変わりゆく 陽光を楽しみたい。だから少々難しくても、建築の中に<外>を導くような空間のあり方からスタートしたくなるのだ。当初、南北2カ所の坪庭と階段を外皮から「切り取る」ところから始まったプランニングでは建築のスケールに対して大きくなりすぎる梁をどのように扱うかが課題だった。しかし、設計も進行中のある日、ふと上下を貫通する八角形の階段室を挿入するプランが浮かんだ。生活上の要求にもそれは上手く作用しただけでなく、構造的にも有利に働き、層間をギリギリまでそぎ落とすことで、梁や柱がなく、2.8mという天井高を持つリビングのボリュームを実現することができた。
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Photo:Koichi Torimura
所在地: 東京都 港区
土地面積: 112.4㎡
延床面積: 251.78㎡
施工会社: 宗建築
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