所在地: 京都府 京都市
土地面積: 158.49㎡
延床面積: 126.18㎡
新築
京都、上賀茂の穏やかな住宅地に建つ、夫婦2人のための住宅です。間口に対して奥行きの深い区画割り、周囲3方は比較的近接して隣家に囲まれるという京都らしい敷地の条件にどのように応えることができるか。そしてご主人からのほとんど唯一と言ってよいご要望であった、アマチュア無線のアンテナタワーを木造でつくる建物にどのように取り込むか。この2つの課題に対する回答として、2つの中庭と4つのルーフテラスのある家を考えました。
<考えたこと>
■中庭とルーフテラスの繰り返しが生み出す立体的な外部空間
まず、奥行きの長い敷地をさらに細長く2つに分割し、2階建てとなるメインのボリュームを片側に寄せました。そして残された側にキッチンと和室を張り出し、その間を中庭に、屋根の上を2階のテラスに充てることで、中庭/ルーフテラス/中庭/ルーフテラスと4つの外部空間が敷地の端から端まで立体的に連続します。これにより、近接して建て込んだ隣家から距離を取り、すべてのスペースに光と風を取り込むと共に、テラスから北山の山並みを望む眺望を得ることができました。
■スキップフロアと伸びやかなLDK
また、建物全体の奥行き方向も手前と奥の2つに分割し、LDKを含む手前のボリュームの階高を高く設定することで、LDKを伸びやかな空間にしています。奥のボリュームの下階と上階の間には収納庫を中間階として滑り込ませ、各部の階高がずれたまま床が重なっていくスキップフロアの構成をとっています。上階の床レベルが2.5階くらいの高さになるため、近隣の屋根並みの向こうに大文字山を含む東山連峰の眺めまで得られるというオマケが付きました。
■木構造にアンテナタワーを組み込むための仕掛け
4つあるテラスのうち、残りの2つはアンテナタワーのために設けられた小さなスペースで、ひとつはタワーを設置するスペース、もうひとつは屋根に近い高さで配線やメンテナンスを行うときに使用します。タワーを設置するテラスには大きな荷重がかかるため、その直下には耐力壁がぎっちりと組まれていますが、そのためにできた小さなスペースを玄関脇のシューズクロークに充てました。玄関戸を開けた人をまず出迎える1つ目の中庭を眺めながらメインスペースに入る動線とすることで、実はこの大層な構造を避けて回り込んでいるということが気づかれることはまずありません。
所在地: 京都府 京都市
土地面積: 158.49㎡
延床面積: 126.18㎡