アカガワノイエ

作品紹介

函館市内北部の閑静な住宅街に建っている。
クライアントは、カフェのようにくつろげるハコを希望し、プロジェクトは土地探し&プランニングを並行して進めた。

 

配置計画は道路から大きくひいて建物を配置し、南にデッキと庭をしつらえ、内外部が一体化する構成とした。外観はシンプルなハコ、素材は工場等で使われている大波銅板、子どもの頃の基地のイメージである。

 

内部構造の中心は、ずばり “キッチンで暮らす” こと。
夫婦が一緒に料理をしたり、たくさんの友人を招いたりと、クライアントの生活の中で食を中心に空間を捉えることは必然であり、気持ちを豊かにできる要素となると信じてデザインを行った。

 

エントランスの広い土間スペース、ガラス越しに一室空間が垣間見える。1階はほぼダイニング・キッチンのワンルームで、床の段差や天井の高さ、吹き抜けを計画的に調整することで、限られたボリュームの中に、ある種の境界・場所性を創出する効果を狙った。

また、この段差はベンチであり、階段でもあり、時にはテーブルにもなる。物の名前に限定されない、様々な要素を持たせることで空間の質の向上を目指している。

 

もう一つ重要視したことが、連続性。
動線上に視線の抜けをつくり、空間の広がりをもたらす工夫をした。トイレと脱衣以外はドアを取りやめ、壁をずらしながら配し、プライバシーを確保しながら、絶妙な距離感を取っている。さらに、窓と内壁の開口を等価に位置づけ、内部と外部の境界を曖昧にする効果も狙った。

インテリアの鉄は、単なるビジュアル効果ではなく、抜けを演出する仕掛けがある。自然な奥行き、適度な抜け感、建築との一体感を表現することができた。

 

日々の暮らしの中に、ちょっとした「気づき」を与えるハコ空間となった。

作品データ

所在地: 北海道 函館市

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