風景とやわらかくなじむ美しい色調、光によって印象を自在に変える質感。PORTER’S PAINTSのペイントは、なんともいえないニュアンスあふれる表情を空間に与えてくれます。
時は1980年代のオーストラリア。ピーター・ルイスが建築修復技術について書かれた祖父フレッド・ポーターの日記を見つけ、それをもとにペイントを作り始めたことからPORTER’S PAINTSは始まります。つまり、PORTER'S PAINTSの原点は“建築修復”。もともとあったものを再現する修復技術の考え方にもとづき、真新しい印象をあたえない深みのある発色とあたたかな有機的なテクスチャーが魅力です。
PORTER’S PAINTSが最もこだわるのは、色。オリジナルカラーと呼ばれる既存レシピの色数はなんと700色もあります。絵画の配色や色調に発想をえながら作られる色の可能性は無限大。この700色にとどまらず、例えば「鵠沼をイメージして、かつくすんだブルーを作って欲しい」等の要望にも応え、専用の調色も可能です。
世にある多くの塗料では多くても12種のところ、PORTER’S PAINTSで扱う顔料は16種。顔料はすべて鉱物を中心とした自然由来の高品質のもの。「自然由来の素材を多く使用しながらも一定の仕上がりを実現するために」TINTER(調色士)がひとつひとつハンドメイドでペイントを製造しています。
茶系顔料が6種とバリエーション豊富なことも特徴。たとえば、青色のペイントのレシピにも茶の顔料が“隠し味”として加わり、植物や石、レンガなどの自然素材となじむ、より複雑な色調を生みだします。ここにも“あたかも昔からそこにあった様に”という修復のコンセプトが息づいています。実際にフラワーショップの施工も非常に多いそうです。
TINTER(調色士)がひとつひとつ色をつくります
photography 矢野 紀行 Toshiyuki Yano
“塗装”という言葉で表せないような美しいテクスチャーも、PORTER'S PAINTSならでは。光の当たり方によってさまざまな陰影を生み出す大理石や石英を混ぜた塗料、まるで漆喰のような表面を作る石灰入りの塗料、エレガントな光沢を放つ絹のタンパクが配合された塗料など。
本物の自然素材を使うことで、本物の質感と驚くほど豊かな表情が生まれます。実際の施工も、ローラーではなく動物の毛を使った刷毛を使い、職人が手仕事で丁寧に塗っていくのもこだわりのひとつ。人の手で刷毛を使って塗ることによって、さらに質感に奥行きが生まれるのだとか。