「エントランスホールは吹抜けにして、ステンドグラスからの光を取り入れたい」という施主のご要望で、バロックの臼井定一さんにステンドグラスの製作を依頼しました。 穏やかでありながらも施主や設計者の意図を汲み取ろうとする真摯な姿勢、ステンドグラスにかける熱意、緻密な工程・・・・・完成した作品は期待に違わぬ、いや期待以上の出来栄えに感嘆しました。
絵画を楽しむ方は少なくありませんが、季節や時間帯で異なる光線によって刻々と表情を変えるステンドグラスという芸術作品の魅力は想像以上に素晴らしいものでした。 「ぜひまた一緒に仕事がしたい」・・・そう思わせて頂ける匠でした。
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【ステンドグラス工芸家 臼井 定一さん】ステンドグラスに魅せられて
ステンドグラスバロックは、工芸家・臼井定一さんが主宰を務めるオーダー専門のステンドグラス制作工房です。工房に一歩お邪魔すると、働く方々の誰もが笑顔で挨拶して下さいます。臼井さんの人柄がスタッフにも浸透しているのだろうなと思わせる、居心地の良い空間。臼井さんの手がけるステンドグラスはここで作られています。
「人」は、太陽光を直接感じるよりも、何かを通して伝わってくる太陽の光=透過光をより美しいと感じると言われています。森の木立から漏れる太陽の日差しを「木漏れ日」と呼び、薄雲を通して光が降り注ぐ現象を「天使のはしご」と称するなど、透過光の美しさを表現する言葉は、昔から数多く存在してきました。
古来、ステンドグラスから漏れる太陽の透過光が人々を感動に導き厳粛な気持ちにさせてきたこともあって、西洋では教会建築に数多く採用されてきました。宗教と密接に結びついて発展してきた西洋のステンドグラスに対し、日本独自のステンドグラスの在り方を追求し続けているのが、日本の第一人者と言われる臼井定一さんです。
臼井さんは、デザイナーをめざしてアメリカに留学していた20代の時に、ルイス・C・ティファニーが手がけた教会のステンドグラスに感動し「これを一生の仕事にしよう」と決意して、帰国後の1975年に横浜でステンドグラスの制作を始めました。それ以来40年以上に渡って日本のステンドグラス工芸界をリードしてきたのです。
住宅にこそ使ってほしい
光の芸術であるステンドグラスは、季節や朝夕で移ろう太陽光によってその表情を刻々と変えていきます。 その変化を楽しむためには「本当は、住宅こそステンドグラスにとって最高の舞台なのです」と臼井さんは語ります。
明り障子などを通して、ソトの光をウチに取り入れて「隔たり」と「採光」を両立する建築文化を持つ日本だからこそ、光のオブジェ=ステンドグラスを住宅に受け入れられるのではないだろうか、そう臼井さんは考えています。
現代美術作家のヤノベケンジ氏やビートたけし氏・中国系アメリカ人画家の丁紹光(Ting Shao Kuan)氏らとコラボしてステンドグラスが話題に上るような活動をされているのもその一環ですし、プロの建築家を招いての研修会や一般の方向けにファクトリーを開放するOPEN FACTORYなどの活動を通して「(西洋とは一味違う)日本独自のステンドグラスを広めよう」としています。
光のオブジェ=ステンドグラスがもっと多くの建築や住宅で見られるようになることをめざして、臼井さんの意欲はますます高まるのです。
私が推薦します
アーキ・プライム
建築家 斜森宏