プロの住宅レシピ 地域の特徴を生かした、東西南北に開く住まい
三輪 良恵
60代のご夫妻が暮らす住まいは、将来的には息子さんに引き継ぐことを見据えて設計されました。
この住まいは、東西南北に開いた設計が特徴です。
この地域は、かつて「水郷」と呼ばれるエリアで、川や畑に囲まれて生活する地域ならではの風景が広がっています。この地域の歴史や文化に寄り添い、四方に窓を開くことで、かつての農家の暮らしを現代の住まいに取り入れました。
四角い箱型の建物の四隅にはキューブ状のスペースを配置し、キューブとキューブの間に大きな窓を設けることで、四方の窓から自然や近隣の動物たちの姿も感じられます。
また、玄関エントランスもダイニングキッチンの一部として活用することで、大きなワンルームのような開放感のある空間となりました。間仕切りや壁は最低限の設置にとどめることで、コストダウンにもつながります。
この住まいでは、次の世代に引き継ぐ住まいとして、経年美化にこだわり、木材選びも大切にしています。時が経つにつれ、素材が風合いを増し、住む人とともに成長していく住まいを目指しています。今後は、壁や棚を塗装したりとアレンジを加えられるよう余白を残すことで、住まいを自由に楽しみ、次世代に渡るまでの長い時間をともにできる住まいです。