プロの住宅レシピ 住宅地で心地よく「街・庭・リビング」がつながる住まい
鈴木 崇真
地下鉄沿線の閑静な住宅街。
密集した住宅地に、屋内と外部環境が連続するような住まいを作ろうとする場合、プライバシーをどう守るかが大切です。 郊外の住宅のように、家と家の間にゆとりがあり、遠くに山や空を感じられる豊かさを、住宅地でも取り入れたいと考え、屋内から風景に飛距離を感じるように設計しました。
まず、入口から敷地の一番奥まで視線が届くよう大きな開口を設け、庭とガレージが自然とリビングへ続くようデザイン。ガレージと庭、リビングの床には同じタイルを採用することで、内外の一体感を図ります。 また、縦方向への広がりをつくるために、屋内には5つのトップライトを設置しました。見上げると空を感じ、光と影の変化が時間ごとに異なる表情を作り出し、それぞれの居場所で過ごしていても四季の移ろいや空の広がりを楽しめます。
さらに、ビルトインガレージで防犯性を確保しながらも、奥に壁を設けず庭とつながる構造にすることで通り土間のような空間が広がります。リビングから外を見ると、庭、ビルトインガレージ、道路というように、視線の延長上に「明」と「暗」が繰り返すことで生じる奥行感を意識したデザインとしました。
縦と横の奥行きと、内部と外部の空間が重なり合うレイヤー構造により、限られた敷地に広がる豊かな住まいとなりました。
Photo:ToLoLo studio