プロの住宅レシピ 近隣とゆるやかにつながる住まい
篠原聡子
住宅という建物の存在が地域の環境を創り、地域の環境によって個々の住宅もまた生かされています。
だからこそ住宅がプライバシーを守る砦のような存在になるのではなく、地域に対してゆるやかにつながる、包摂性を持った住まいにしたいと考えています。
かつて日本の住まいには縁側があって、近所の人たちが気軽に集まり、お茶やお菓子を楽しみながら会話が弾む空間がありました。
現代の住宅においても縁側に代わる存在を設えながらも、外に開放するだけでなく、住まい手が独りになることができる「閉じられた場所」もしっかりと確保する。
家族一人一人が求めるものや将来のことまで考えながら、外に開かれた場所と閉じた場所にどうメリハリをつけていくか。
それが住宅設計の要諦だと考えています。
PHOTOGRAPH Ryota Atarashi