プロの住宅レシピ 周囲の環境を活かした「ト」の字の住まい
斉藤 智士
この特徴的な「ト」の字の住まいは恣意的に形作ったものではなく、周囲の自然環境から生まれたものです。
この住まいは長手方向に美しい山が広がります。その山や木々を室内に取り込むために住まいの軸を作りました。ただ一方向にのみ視野を広げると閉塞感が強くなってしまいます。そこでもう一方向、視界が抜ける軸を作ることで、開けた視界を確保しました。
そしてコストダウンを図るため、屋根の面積を増やし、外観の壁の面積を最小限に抑えています。急勾配の屋根にすることで、雪や落ち葉が溜まることなくスムーズに流れ落ち、メンテナンスが容易になります。玄関やテラス部分の屋根のめくり上がったようなデザインにより、自然な動線が生まれ、出入りをスムーズにします。
周囲の自然環境と予算を考慮しながらも、調和のとれた住まいとなりました。
Photo:山内 紀人