プロの住宅レシピ バリアフリー住宅の温かいキッチン

井川 一幸
「車椅子を使われるご家族も心地よく暮らせるように」という思いで家づくりがスタートしました。
特に、キッチンにはご主人の強い思いが込められてます。
「家族との時間を大切に」というご主人の思いから、家族の顔を見ながら料理をしたいということ。同時に凝った料理をされるということで、料理の匂いがリビングに広がらないようにしたいということで、キッチンとリビングをガラスのパーテーションで区切りました。
キッチンは家族と一緒に楽しめる温かい場所になるよう、木の素材を多く取り入れ、キッチンの硬い印象を払拭し、遊び心を大切にしたデザインです。
今回の住まいを設計する上で、バリアフリーで機能を考えながらも、無機質な空間にならないことを大切にしました。多くのバリアフリー住宅は機能性を重視するあまり、無機質な雰囲気になりがちです。機能性もしっかり確保しながらも、家族が求める温かみのあるデザインが実現しています。
大きな開口から住まい全体に自然光を取り込むことで、開放感が生まれています。長い時間を室内で過ごすときも、外にいるような開放感と心地よさを感じられるようなデザインです。
バリアフリーという機能性と、家族が心地よく暮らすためのデザインを追求した住まいです。制限のある生活の中でも、豊かな時間を過ごしてほしいと願っています。
Photo : 石井 雅義